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むかしむかし、お山に掘られた素敵で気持ちの良い穴に

ホビット小人のビルボ・バギンズが住んでいました。

ホビットとは、とても陽気で、ごちそうとパイプが大好きな

「小さな人」です。 彼らはとても大人しい種族で

「冒険なんてとんでもない!」と思っているのが

普通です。ビルボも例外ではありませんでした。

 

 

 

そこへある日、何十年ぶりかでホビット村を訪ねた大魔法使い

ガンダルフが訪ねて来ました。

「ビルボよ、ひとつ冒険に出てみないかい」

ホビットにとってはとんでもない話です。

しどろもどろで断わってさっさとドアを閉めてしまいました。

それでも礼儀正しく、明日のお茶には誘いました。

彼らはお客を呼ぶのも(そしてもちろん呼ばれるのはもっと)

大好きだからです。

 

ところがこれがいけなかった。

開けてビックリ!翌日のお茶に現れたのは13人のドワーフとガンダルフの

合計14人でした。

「ドワーリンです」「バーリンです」「キーリとフィーリです」「ドーリとノーリと

オーリとオイン、そしてグローインです」「ビフール、ボフール、ボンブールです」

「そして私がトーリン・オーケンシールドです」

 

 

 

 

来てしまったものは仕方ありません。

ビルボは14人のお客をできる限り

もてなしました。

「ビルボよ、むした鳥とトマトもたのむぞ」

しかもガンダルフときたら、ビルボよりも

彼の食料庫に詳しい様子です。

 

 

食事が済むと、まずはトーリン

(奥の列・右から3番目に居る立派な鬚の

ドワーフがそうです)がお礼を述べました。

そしてこんな唄が始まったのです。

♪寒き霧まく山なみ越えて 古き洞穴地の底めざし

 我らは旅立つ夜明けより前に

 竜に奪われた黄金を取り戻すために♪

どうやら彼らは、かつて自分の先祖たちが

土地と財宝を竜に襲われ乗っ取られてしまったのを取り戻しに行こうとしているようです。

 

 

 

「しかしそれには、勇敢なドワーフの他にも、静かに働く

忍びの者が必要じゃ」

ガンダルフが口を開きました。

「それがお前さんなんじゃよ、ビルボ」「えーーーっ!」

 

 

 

 

 

そして次に、ガンダルフはトーリンに向き直りました。

「わしはあんたの父親から、竜の居る山の秘密の入口を示した

地図と、この鍵を預かった。大事に持って行かれよ」

「この2つをあなたはどこで?」トーリンの目が光りました。

 

 

 

 

「彼は恐ろしい死人(しびと)占い師に捕まっていた。

こいつは凄まじい敵でな、さすがのわしも

それらの品物を預かって逃げるのが精一杯じゃった。

さあ、今夜はこれまで。明日は早いぞ」

 

 

こうして、トーリンたち13人のドワーフとガンダルフ、

そして我らがビルボ・バギンズは、恐ろしい竜の待つ山への長い長い

大冒険の旅へと出発しました。

えっ? どうしてビルボも行く気になったかって?

それは、彼がドワーフの唄に心を動かされたのが1割と

彼の遠い先祖に「うなり牛」という冒険好きの人が居たのが1割、

あとの8割が自分でも解らない「何か」に突き動かされたためでした。

しかし皆さんご存知の通り、このビルボが誰も想像できなかったほどの

大活躍を見せるのです・・・

 

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